Story 3 〜不思議少年アゼル〜

  よく晴れた日曜日。 今日は風や太陽達の学校も休みで、唯一帝だけがこの部屋にいなかった。   帝に言わせれば、「俺だって休み位ほしい」と言う所なのだろう。   だが、修行中の手前、あまり我侭はいえないらしい。      「太陽!布団干すから手伝ってー」      ベランダから、風の声がする。   帝は忙しいため、こうやって風がほとんどの家事を引き受けている。   受験生であるにもかかわらず、毎日家事をこなす姿は、一種ベテラン主婦のように見えなくも無い。      「わかったー」   太陽は、というと、先日引退試合がやっと終わったらしく、此処何日かはグータラ過ごしていた。 「おねえちゃん」      少しずつではあるがこの奇妙な家族に慣れてきた莉沙。   最初は怖がっていたが、怖い人達でない事が解ると、こうして、自分から近づくようになっていた。   「ん?なぁに?」   「あのね、あそこに、変な人がいるの」   そういわれて、ばっ、とその方向を向いて、納得した。   「あー・・・。莉沙ちゃん、あの人は変な人じゃないんだよ」   そういう二人の視線の先にいたのは、茶色のポニーテールの先が白い、   明らかに一目でポケモンとわかる少年だった。   「アゼル、入ってくるのはいいんだけど、一言断ってくれないかしら」   「何時もの事じゃん」   そういって、アゼルと呼ばれた少年は、ため息をついた。   「全く・・・。あの人はね、アゼルって言って、お隣さん。イーブイ族なんだよ」   「イーブイぞく・・・?」   「そう。現在確認されてる約390種のポケモンの中でも、5つの進化の可能性を持つ、珍しい種族」   アゼルはそういうと、チラリと莉沙をみた。どうやら興味はあるらしい。   「ふーん。君が、帝さんの養女か。珍しいね。じゃ、僕は帰る」   「今度来る時は必ず一言断ってからにしてよ」   風の呆れた声に、アゼルは片手を上げてこたえた。   「ふしぎなおにいちゃん・・・・」   そういう莉沙の声と、   「おーい、布団何処に干すんだよー」   という太陽の声が響いた。

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  み・・・短っ・・!