Story 6 〜不吉な電話〜
それから数日後。
本家の片隅に置いてある電話が、鳴った。
「はい、雷でございます。・・・太陽様ですか?今しばらくお待ちください」
電話に出たエアームドが、保留に切り替え、ぱたぱたと走って行った。
「だ〜か〜ら〜・・・。この対数は底の変換をすればいいでしょうが」
「オレはそれがわかんねえんだって!天子姉みたいに頭良くねえし」
太陽の部屋では、真ん中に置かれた机の上に広げられた、数学の問題を巡って論争が続いていた。
「んもぅ・・・。あ、ほら。ココをこうすれば・・・」
カリカリと鉛筆が走る。
「え?・・・・・・・・あ、解けた」
それに続いて、シャーペンのノック音、そしてノートに書き写す音も続く。
障子の向こうに誰かの気配を察知したらしく、天子が促す。
すす、と開いて、エアームドがいた。
「太陽様に、バラクース家のアゼルというお方から電話が掛かってきております」
聞きなれないファミリー・ネームに太陽がきょとん。しかし、名前で頷いた。
「あぁ・・・。アゼルか。わかった、今行くよ」
礼をして去って行ったエアームドの後を追うように、太陽が出て行った。
「はい、太陽です」
少し経って、電話口に太陽が出た。
『太陽さん、お忙しいところすいません』
電話口のアゼルの声は、幾分か低くなったような気がする。
「あれ?アゼル、風邪でも引いたか?」
『いえ、ちょっと進化したてな物で、まだ体調が・・って、そんなことどうでもいいんです』
アゼルは一呼吸置くと、やけに落ち着いた声で続けた。
『パルキア神って、ご存知ですか?』
「え?パルキア?確か、シンオウ地方の神様だろ?それがどうかしたか?」
『どうしたもこうしたもないですよ。さっき姉から聞いたんですが』
後ろから、『姉達、でしょー?』と声が聞こえた。
くぐもって、『キッシュ姉さん、黙ってください』と聞こえた直後に、続いた。
『・・・兎に角、姉達から聞いたんですが、ジョウトの何処かで、そのパルキア神を
復活させようと狙っている一団があるらしいんです』
「なんでパルキアなんか復活させるんだ?」
『よく解りません。ただ、パルキア神は時空神ですから、
その能力を何らかに使おうと狙っているんでしょう』
「ふーん・・。解った。風にも伝えとくよ」
『お願いします』
ツーッ、ツーッ、と同じ音の鳴る受話器を一度置いて、太陽は、もう一度手に取った。
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アゼル再び登場。彼は末っ子なんです。
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