Story 7 〜崩れる日常〜
「風!」
その日の内に、太陽はコガネへと戻ってきていた。
アゼルからの電話の内容を風に伝え、天子にも伝えると、
『あんた早くジョウトへ戻んなさい!このままじゃ何が起こるか解らないから!!』
と、血相を変えて、ほぼ追い出されるようにして戻ってきたのである。
「太陽、アゼルが言ってた『パルキア神の復活』って何か関係があるの?」
「多分。ただ言えるのは、このままだとジョウトは、いや、この世界は・・・」
一呼吸置いた。
「確実に、崩壊する」
「天子姉さんがそういってたの?」
カントー伝説御三家の中でも、そういう不思議な事象等にとんと縁のないように見える天子。
だが、彼女は、家にある資料等から、何かとんでもない事が起こると予測したのだ。
「兎に角、エンジュの帝兄と莉沙ちゃんが心配だよ。戻ろう」
頷き、空へと上がった。
エンジュの焼けた塔の前に降り立つと、二人は急いで帝の所へと戻った。だが。
「あれ?いない・・・」
ちなみに今日は日曜日。今の時間なら居るはずなのだ。
「千寿さんなら知ってるかもしれないわ」
居ても立ってもおられず、走った。
丁度、千寿庵とボロアパートは離れていない。徒歩5分圏内だ。
千寿庵に辿り着いたが、其処に、帝の姿はなかった。
「風ちゃんに太陽君。如何したんだ?」
「千寿さん、帝兄は?」
焦るように問うと、とんでもない答えが返ってきた。
「帝なら、莉沙ちゃんを永久に預けてフスベに行っているよ。
まったく、アレだけ実家が嫌いだって言っていた帝が、如何したんだろうねぇ」
そうである。ハクリューに進化してすぐ家を飛び出した帝。
帝にとって実家は憎悪の対象であり、近づくのも避けるべき場所のはずだ。
それなのに何故、こんな時に、その場所へ・・・・?
「じゃあ、莉沙ちゃんは大丈夫なんですね?」
「ああ。さっきも永久と一緒に和菓子を買いに来たよ。
もう行ったのか。・・・・・・・一体、帝といいあの子達といい、如何したんだ」
不思議がる千寿をよそに、太陽たちは永久の元へ向かった。
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次の次のチャプターで帝が出てきます。
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